TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)について解説。
スポンサーリンク
TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)について解説。
TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)は、WPA(Wi-Fi Protected Access)セキュリティプロトコルで使用される暗号化方式です。TKIPは、WEP(Wired Equivalent Privacy)の脆弱性を克服するために開発されました。
TKIPは、WEPのRC4(Rivest Cipher 4)暗号化アルゴリズムを改善し、より強力な鍵管理とデータの完全性チェックを提供します。具体的な仕組みは以下のようになります:
1. 動的な鍵生成: TKIPでは、データ通信ごとに一時的な鍵(Temporal Key)が生成されます。これにより、暗号化に使用される鍵が定期的に変更され、セキュリティが向上します。
2. マイケル改ざん検知(Michael MIC): TKIPは、データの改ざんを検知するためにMichael MICと呼ばれる完全性チェックを導入しました。送信側は、データパケットと共にMICを計算し、受信側はデータパケットとMICを比較して改ざんがないかを確認します。
3. パケットごとのIV(Initialization Vector): WEPでは、固定のIVが使用されたため、暗号化の予測性が高くなりました。しかし、TKIPでは、パケットごとに一意のIVが生成され、予測性を低減させます。(TKIP は、WEP と同様のキー構造を使用し、シーケンス カウンタ (リプレイ攻撃を防ぐために使用) の下位 16 ビット値を 24 ビットの「IV」に拡張)
TKIPはWPAの一部として導入され、WEPよりもセキュリティレベルが高くなりましたが、それでもWPA2のAES(Advanced Encryption Standard)暗号化に比べると安全性は劣ります。WPA2ではTKIPの代わりにAESが推奨されています。
TKIPは、互換性のために古い機器やレガシーシステムで使用されることがありますが、セキュリティ上のリスクがあるため、できる限りWPA2またはWPA3の使用が推奨されます。
※WEP(Wired Equivalent Privacy):無線LAN(Wi-Fi)ネットワークにおけるセキュリティを提供するための暗号化方式です。WEPは、初期のWi-Fi規格で広く使用されましたが、その後の脆弱性の発見によりセキュリティ上の問題が浮き彫りになりました。
※MIC(Michael MIC): Michael と呼ばれる追加のメッセージ整合性チェックがあり、各フレームにハッシュ値を追加します。これを使用して、誰かがフレームに変更を加えたかどうかを検出できます。
※IV(Initialization Vector、初期化ベクトル):暗号化プロセスにおいて重要な役割を果たすランダムなビット列です。
※AES(Advanced Encryption Standard)は、現代の暗号化アルゴリズムの中で最も広く使用されるブロック暗号化方式の一つです。